先日、シャンテシネの売店で購入した「真実のマリア・カラス」という本をやっと読み終えました。
そこには私が今まで知っていたカラスよりも、更に壮絶な一人の女性の人生が描かれておりました。
アメリカ生まれのギリシャ人が、人並みはずれた才能に恵まれ更に強い意志を持ってオペラ界の頂点を極め、長きにわたってその女王の座にあり続けたわけです。
確かにカラス本人に起因する問題も多々あったでしょうし、何よりも夫メネギーニの起因による、次々に引き起こされた数々のトラブルを別にしても、イタリアという国でイタリアオペラを歌うということは大変なことのようです。
イタリア人にとってはベルカントというのは自分たちのもの、他の国の者には絶対に出来ない。という強烈な誇りを持っているようです。
例えば、ウィンナワルツはウィーン生まれでないとあの独特のワルツのリズムをとることは出来ない。などと言われてきたことと相通ずるところがあるようです。
それをもっとわかりやすく言えば、大阪では阪神タイガース以外は認めない。広島では広島カープ以外は認めない。
というそれぞれの土地の人々の感情と少し似ているかも知れません。
イタリア人の特性もあってイタリアオペラの場合はそれが顕著で強烈のようです。
自分たちの国が生み出した文化、それがベルカントオペラだからでしょう。
確かに骨格的にもすべての面で恵まれたイタリア人だからこそ素晴らしいベルカント唱法が生まれたのも事実です。
そこによそ者が入って来て我がもの顔のように活躍をされたのでは、それだけでも面白くないのは人の常としても当然のことで、イタリアの国民感情としてはこれも仕方がないと思うのです。
その上更に夫メネギーニの物事の進め方は、明らかにわざわざ多くの敵をつくり出すことになりました。
そんな四面楚歌のなか、耐え難いほどの数々の侮辱と裏切りを受けながらの日々はいかばかりであったろうと思われます。
「世紀の歌姫」「不出生のプリマドンナ」とよばれ、没後30年も経った今も尚、オペラ界の女神として決して他を寄せ付けない「マリア・カラス」。
この本には、世界を騒がせた幾多のスキャンダルや報じられた華やかな姿とは裏腹な、想像を絶する「女神」がのた打ち回るような壮絶な人生が描かれていました。
この本を読み終わって、カラスの音楽にまた一歩近づけたように感じています。
感謝、感謝です。
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